《MUMEI》

あの声の主、何処か聞き覚えのあるような…。

脳内で、あの電話の声をリピートする。しかし、年のせいかうろ覚えで、一歩進む毎に記憶は薄れていく。

そんな事を考えながら私は自身が働く本社へと電車で向かっていた。

私の新聞記者脳を呼び起こす。思い出せ、私!

かつて、私はそんな様な記事を見た筈だ。息子が閉じ込められた今回の事件…簡単に言うとOG監禁事件と似たような。


少し、いや、かなり前。


私がまだ新聞記者になりたてだった頃。

まだ先輩と行動を共にしていた頃だ。初めて任された仕事の見出しは「二十代の天才、ゲームで人を殺害か。」。

その事件内容は、天才と吟われた二十代のゲームプログラマーが、とあるオンラインゲームの、限られた人間を監禁し、その内の一人を誤って殺したといったものだ。

参加人数は七人。六人は無事に生還。

そして、一人は誤って殺された。

確かその天才プログラマーの名前は――…。


「…矢吹、瑛太……。」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫