《MUMEI》 「ヒーリア!」 ガバッと上体を起こしたハルは、迷いなく俺に回復呪文を唱えてくれた。 「お…ハル。サンキューな。」 礼を言い、俺も上体を起こす。痛みは既に無く、気にする事は残り一つだ。 「さぁて。この惨状どうするか。」 「植物系の回復呪文ってマナ凄い使うのよね。」 正直俺は回復系の呪文はあまり手を出していない。その事はハルも重々承知しているので、この惨状は自分で片を付ける気だろう。 「カケル。」 俺の名を呼び、手をちょいちょいと後ろへ動かす。 `どけ´という事だ。 俺は大人しく野菜上からパッと飛ぶ。そしてハルの横を過ぎていき、「ほい。」と呟いた。 するとハルは両手を前にし、魔力をそこに込めた。 「パートプラント、タイムリロード。」 声を発した瞬間、両手に込められていた魔力に薄紫の色が付き崩れた野菜を覆った。 網目の魔力が消えると、そこには美味しそうな野菜達が転がっていた。 「ふぅ。どうせ建物も私なんでしょ?」 前へ |次へ |
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