《MUMEI》

「ヒーリア!」

ガバッと上体を起こしたハルは、迷いなく俺に回復呪文を唱えてくれた。

「お…ハル。サンキューな。」

礼を言い、俺も上体を起こす。痛みは既に無く、気にする事は残り一つだ。

「さぁて。この惨状どうするか。」

「植物系の回復呪文ってマナ凄い使うのよね。」

正直俺は回復系の呪文はあまり手を出していない。その事はハルも重々承知しているので、この惨状は自分で片を付ける気だろう。

「カケル。」

俺の名を呼び、手をちょいちょいと後ろへ動かす。

`どけ´という事だ。

俺は大人しく野菜上からパッと飛ぶ。そしてハルの横を過ぎていき、「ほい。」と呟いた。

するとハルは両手を前にし、魔力をそこに込めた。

「パートプラント、タイムリロード。」

声を発した瞬間、両手に込められていた魔力に薄紫の色が付き崩れた野菜を覆った。

網目の魔力が消えると、そこには美味しそうな野菜達が転がっていた。

「ふぅ。どうせ建物も私なんでしょ?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫