《MUMEI》 鳴り止まない歓声〜歩視点〜 今日は、待ちにまった入学式〜♪ 俺は、ルンルン気分で学校に向かう。 俺のクラスは……と。 下駄箱のすぐ近くの掲示板に張り出されている、クラス発表の紙を1組から順番に見ていく。 あった! 中原 歩――自分の名前が書かれているクラスを確認する。 3組かぁ〜♪ この高校には、5クラスあるみたいだ。 さっそく自分のクラスに向かう。 教室に入ると黒板に張ってある、席順が書かれた紙が目に入る。 その紙から、中原と書かれた席を探す。 おっここか! 俺の席は、前から3番目でどちらかというと窓よりも廊下に近かい。 知り合いも見当たらず自分の席に座り、ソワソワしているとガラッと教室のドアが開きスーツに身を包んだ男が入ってきた。 推定年齢50歳のその男がこのクラスの担任らしい。 担任は簡単に入学に対する祝辞と挨拶を済ませると、生徒を廊下に並ばし体育館ヘと誘導する。 体育館に着くと数分後に入学式が始まった。 祝辞やら来賓のあいさつやらが一通り終わると 「新入生挨拶」 っと言う司会の声と共に女の子がステージに上がった。 その瞬間に色んな所から歓声が……! 俺もその女の子に釘付けになってしまった。 めっちゃ美人だ……。 美人ってもんじゃないぐらい美しい。 漆黒の髪が腰まである。その髪が歩く度に揺れる様はまさに魅力的の1言だ。 パッチリという言葉が似合う大きな目に黒目がちな瞳、遠くからでも分かるまつげの存在感。 手足はスラッと長く、姿勢もいい。 鳴り止まない歓声に、先生が注意しようとしたその瞬間――。 前へ |次へ |
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