《MUMEI》 「…パートビルディング。タイムリロード。」 背後から声がしたかと思えば、目の前の俺達によって破壊された建物が薄紫の魔力によって包まれた。 慌てて振り向くと、そこに一人の少女が立っていた。 「…直してくれてありがとう。貴女のお名前は?」 ハルがにこりと対応している。 ……すげぇ。 俺は持ち前のコミュ症により、口を薄く開いたまま例の少女を見ていた。 「…名前を聞くならまず名乗れ。」 少女は顔も変えずに透明な声を発した。 「……それは御免なさい。私はハル。貴女は?」 「……アカネ。」 なんだか、言うまでも無く空気が重い。 俺は何もしていない筈なのに、冷や汗が止まらないのは何故だろうか。 「アカネ…さんは、どうしてこれを直してくれたの?」 ハルが上目使いで聞くと、アカネは目を反らした。 「別に、お前が困ってたからじゃない。…なんとなくだ。」 「「…………。」」 ハルと顔を見合わせる。 初めはどうかと思ったが、なんとなく今の反応でこのつり目な少女の性格が見えてきた。 俗に言う、ツンデレという奴だ。 前へ |次へ |
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