《MUMEI》

「あ…あぁ……なんか、ダメージを受けた時にヒットポイントじゃなく、その痛みのみを回復してくれるアイテムなんだって。限定千個。」

その言葉を聞いて、俺は安堵の溜め息を長めについた。

「そうか…それだけなら、良かった…。」

しかし、その反応にまたもや二人ともが唖然とする。

なんだってんだ?

「…カケルの事だから残念がると思った……。」

「あんただからって訳じゃないけど、普通はもっと早く言えよ・って私を責めると思ったんだけど。」

その言葉に俺は思わず笑ってしまった。

「なんでだよ。そんなアイテムがあったなら、俺以外のプレイヤーが使った方が有効だろ?」

笑ったままで二人に言うと、ハルはそのまま固まり、アカネは吹き出した。

「凄いな、あんた…。その考え凄いよ、カケル。絶対小数派だ。」

その感覚が、俺には無いものだったので取り敢えず苦笑してみた。

すると、アカネが一層声を上げて笑った。その度に揺れる亜麻色の少し外に跳ねた綺麗な髪に、つり上がった目が何とも目を奪った。

ドッ

「うぅっ!」

突如、腰に激しい痛みが走る。意識が飛んでた分、余計にじわじわとくる。

「鼻の下伸ばして不埒な事を考えない。」

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