《MUMEI》
王子様
ドキドキ…胸が高鳴る。



買ったばかりの新しいピアスをつけて、
髪もセットしてメイクもバッチリだ。


鏡で何度も自分をチェックする。



よしっ!完璧っ!!
自信のない自分にそう言い聞かせて歩きだす。


平日の朝の駅は人でごった返している。
スーツを着たおじさんや制服を着た学生達が
駅のホームに立って電車を待っている。

そして私、
水馬あいも今年高校2年生になる学生だ。

なぜ私が今こんなにも
ドキドキしているかというと、
それは恋をしているから。

とてもさっぱりした言い方だが
私は今恋をしている。


その人を見るたびに
心臓が口から出てしまうのではないかと思うくらいに
胸が高鳴り顔が熱くなる。
たぶん顔は真っ赤になっている事だろう。

その人に見られたいがために
昨日新しいピアスを買って今日つけている。
化粧もバッチリしている。香水もしている。
髪型も綺麗にセットした。

今さっき鏡で自分をチェックしたから
大丈夫なはず。


ドキドキしながら歩いていると…



いつものところにその人はいた。


うつむき加減に下を向きぼーっとしている。


ドキドキドキドキドキドキドキドキ

心臓が早くなる。

ドキドキドキドキドキドキドキドキ

その人の前をすました顔で通り過ぎる。


通り過ぎた後も鳴り止まない心臓。


そして今日もその人を見れた喜びと
気付いてくれない悲しみが入り混じった
変な気持ちになる。



切ないけれど会えただけでも嬉しい。


あなたに振り向いてもらいたいから
私は毎日頑張れる。

あなたは私の王子様です。

王子様は決して振り向かないけれど
いつかは振り向いてくれるといいな
と毎日願う日々。



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