《MUMEI》

……ケンスケ、どうしちゃったの?

泣きそうな顔で、イズミに聞かれたんだ

……わかんねー

病院、行ってみたら?

いいよ、別に…

ユズネが可愛そうよ…

……そのうち、治るだろ
何で、泣いてんだよ、イズミが……

イズミ!泣いちまってたんだ

だってぇ……
知らなかった、昨日聞いたの…
誘っても、はぐらかすから変だなあって………思ってて…

私のせいかな?

ユズネ、止めてよ、誰のせいとかじゃ…

おれ自身の問題だろ?
打ち止めだったりしてな

赤ちゃんどうするのよ?!
作らないの?!

だから、なんで、イズミが泣くんだよ

そうよ、セックスしないだけで、後はなにも変わらないわ
仲も悪くないわよ
同じベットで寝てるし、週末はいつもズット一緒だし

俺、勃起しなくなったんだ
少しは立つけど、使い物にはならねーかな……
性欲も、ほとんど無いようだったんだ

さやかの事があってから、ひと月が経とうとしてた…

ユズネは、俺になにも言わない
マサカズとして構わないと言ったけど、
俺が興奮しないんじゃ、する、意味がないと、ユズネが言うんだよね

ユズネを満たしてあげたいと、思うけど……性欲が湧かないんだ

そんな俺がユズネを愛撫しても、ユズネはよろこばなかったな……

破局もあるのかな?
こんなことから始まって……

言葉にはしなかったけど、
そんなことも考えてしまったな

ユズネの、素肌に触れるのは好きだけど、
性的興奮に繋がらないんだ

毎晩、肌を寄せて寝ているけど
そう、ならない……

ケンスケ、別れないわよ
一生そのままでも
浮気もしないわ……オナニーもしない、
一心同体よ

俺の思ってることを見透かされてるのか?……
そう、感じたな

………ケンスケ、ほら、下着だよ

イズミが立ち上がり、スカートを捲ってた

ほら、毛が見えてるわよ……

下着を押し下げ、見せてるイズミ

……嘘でしょ?、ねぇ、ケンスケ!
………ぜんせん、興奮しないんだね…

イズミが俺の股間を触って、そう言って泣いてた

……イズミ、逆効果だよ

マサカズが言ったんだ

変に気を使うなよ、
身勝手だけど、俺はそんなに辛くもねーんだ
ユズネには、悪いと思うけどさ……
もう、満たしてやれねーんだなって

いいよ……そんなの……
私がケンスケを、追い込んだんだから

止めてよ!、そう言う会話!
もっと、違うものを目指してたんじゃない!
………誰のせいとかじゃないわよ……

……ごめんね、ケンスケは、三人で楽しめって言うけど
私もそんな気にはなれなくて…

あたりまえじゃない……そんなの…

……取り合えず、さやかの水子供養に行ってくるわ
もしかしたら、ケンスケの子供だったかも知れないでしょ?

行くの?!……

……取り合えず、ね……

私達も行こう、痛みを共有しなきゃ

そうだね、行こう

いいわよ、そんなの……

嫌よ、本気で抱かれる覚悟を決めたのよ……
私は、マサカズの妻だけど、ケンスケと寝るって決めたの
ユズネとも、愛し合うって決めたのよ…
他人事じゃないの

そうだよ、
それに、一緒がやっぱ、落ち着くしね
イズミ、泣くことじゃないよ
これから行くんでしょ?
待ってて、すぐしたくするから、
ほら、イズミ、用意して

マサカズが、イズミを急かしてたんだ



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