《MUMEI》

ユズネと、何かギクシャクした関係だった

翌週末、マサカズに車を借りたんだ

ひとりで、マサカズの車を走らせてた

峠道、もう、山は冬の景色だ

タイヤがきしむ音
身体に重力を感じるような、荒々しい走り

エンジンが吠え、ブレーキか叫ぶ

車をコントロールしてるのか、
車にコントロールされてるのか?……

人の車なのに、こんな乱暴な走らせ方をしてる……

……海が見えてた…

風も強く、人影まばらで
エンジンを止めると、車内はすぐに寒くなってきてた

自分と向き合え、か……

指がかじかむ頃、何となく見えてきたかな……

後は、どうするかだけ、か……

セルモーターを回すと、エンジンは軽快な音で回りだした

アクセルを踏み込むと、甲高い音を響かせてる

四人乗りなのに、紛れもなくスポーツカーだ

普段は大人しくしてるけど、
コイツは、走りたがってるんだ…

だけど、それは、がむしゃらに走りたいんじゃなく
洗礼された走りをしたがってるんだな

ちょうどよい、エンジンの回転数

ちょうどよい、タイヤのトラクション

素直に曲がるし、
コイツも、楽しめてるんだ

ほら、気持ちよくコーナーから出て、この車速の伸び、
シフトチェンジも心地よく、滑らかだ

忘れてたな………

………見失ってたんだな、俺は…

恐かった……
そう、怯えてたんだ

もう、迷いはない……

きっと、応えてくれるはずだ
そう信じて、進むだけだよな



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