《MUMEI》
――首筋に、鎖骨に噛みつく様なキス。
直哉は蛙みたいに脚を広げながら…
――俺は、犯される。
「ハアッ、ハアッ、おい、腰に、力…入れろ…、緩い、こんじゃ、ハアッ、イけねーって」
――俺は諦めて…
直哉の首に腕を回し、言われた通りに、そこに力を入れる。
直哉は狂った様に俺を犯す。
――直哉、早くイって…
もう、開放されたい。
俺に触れてくる唇が…
とても不快に感じた。
キスをしたくなくて、俺の顔の脇に直哉の頭を抱える。
分からない……。
今日はずっと不快で堪らない…。
不快を悟るとそれは止まらなくなる。
俺の肌を舐める濡れた舌が気持ち悪い。
好き勝手にいじられる事に鳥肌がたつ…
肌から湧き出る
彼の滝の様な汗が…
どうにもムカつく…。
「好きだ、好きだ、好きだ……」
そんな台詞に合わせて、俺は嘘の返事さえできない。
――心の中で俺は…
『もう、直哉は…
イラナイ……』
――あれ程固執していた
黒い感情。
一生俺は直哉から離れられないと思っていたのに…。
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