《MUMEI》
見いだすために
マサカズの車を、夜中に返しに行ったんだ

悪いな、寝てたろ?

いや、起きてたよ

ありがとう、少し吹っ切れたよ

……上がってくだろ?
ユズネ、きっと起きてるよ、呼ぼうよ
…………二人きりの方が良いかい?

……迎えにいってくるよ

え?……

悪いけど、付き合ってくれ
イズミも起きてるんだろ?

うん……ちょっと喧嘩しちゃってさ、

ふてくされてるのか?

……泣かしちゃったんだ

マサカズがイズミを泣かすなんてな……

言葉にはしなかった
遠慮もしなかった

帰宅して、ユズネを連れ、マサカズのマンションに行ったんだ

ユズネ、起きてたけど
口数も少く、塞ぎがちだったなぁ

イズミも泣いてたのがわかる
目が腫れてるよ

なんで喧嘩したんだ?

聞いたんだ

ケンスケのことでだよ

マサカズが答えたんだ

………んだょ、それ…

ケンスケ、そっちはどうなんだ?

ん、これから喧嘩するよ
悪いけど、マサカズ、イズミ、立ち会ってくれ

イズミが俺を見てた
そして、ユズネを見たんだ

怒られるの?、わたし

ユズネが俺にそう聞いたんだよね

いや、怒ってないよ、
けどよ、諦めたくないんだ

諦める?……

……諦めたくねーから、喧嘩すんだよ、
破局が恐くて、男やってられねーしな

まって、ケンスケ!

イズミが叫ぶように言ったんだ

ん?……んだょ

私達も考えたよ、たくさん考えたの!

イズミ、だからそれは勝手な女の考えだと話したろ?

マサカズの言うこともわかる!
けど、理由が必要なの!!
…………女には、必要なの…

イズミの言葉に

なぁ、先に俺に付き合ってくれよ
マサカズ、悪いけど珈琲飲みてーんだ

そう言ってから

喫煙ルームに行こうぜ
車内禁煙守ったからさ、タバコしたくてたまらねーんだ

うん、珈琲入れるよ

私がやるわ

イズミ、ユズネといてあげなよ
男対女の喧嘩になりそうだからさ

………マサカズ、怒ってるの?

ユズネの質問に

かなりね

マサカズが、そう言ったんだ



前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫