《MUMEI》

………そっかぁ……ケンスケ、もう、私の身体を愛しくないんだね?

………ボソッとユズネが言ったんだ

どんなに大切にしてもよ………
俺にはなんも出来ねーからよ、
守ることすら出来ねーところに行っちまうだろ?

………いてもたっても、いられなかったの

わかるよ、ユズネの言いたいことも、
俺に対する気持ちも……
けど…………とにかく嫌だった

………ごめんなさい……

謝られるのも、嫌なんだよね、
元はといえば、俺の不始末だしよ……

どうすればいいの?!

それも、わかんねー
話の落とし所もねーからよ……
行き当たりばったりで、話してる…

……ケンスケ………

なぁ、ユズネ……見つけられなきゃ別れようぜ
俺は善人じゃねーんだ……
けどよ、人を蹴落とそうとは思わねーぜ、
悪人だって幸せになりてーしよ、
邪魔になるものは排除してくしさ、
けど、それは俺がする事であって、ユズネにされたくねーんだよ……
身勝手なのもわかってる……
話してて、怒りが沸いてくるんだ、
さやかの元旦那、呼び出してシメるかな……

そう言うのも嫌なの!
ケンスケ、殺しかねないでしょ?!

そうだな……けど、おさまらねーんだよ、怒りが……なんで、そんなクズが俺のユズネに触れるんだよ
まして、ユズネは覚悟してたんだろ?

性的な興奮でしたことじゃ…

関係ねーよ、意味なんか何でも関係ねー

ユズネの言葉も制したんだ

…………単黙した部屋に、マサカズの声がした

ユズネは、平気かい?
ケンスケの腕がもぎ取られても、
ケンスケの身体が切り裂かれても……
誰のためでも、嫌じゃないのかな?…
ケンスケにしたら、同じことなんだよ…
こんな、同じマンションでも、夜だからユズネを、迎えに行ったろ?
出来ることは何だってしたいんだよ、ケンスケは

それはユズネも、同じじゃない?!

イズミがマサカズに言ったんだ

違うよ……ケンスケは、一緒に、なんだ……ユズネはイズミの口ぐまるまもあって、ケンスケのいない場所で行動したろ?
同じじゃないんだよ

マサカズ……誰の言葉があったにしろ、
決めたのはユズネだ、
イズミに責任はねーよ

うん、僕もそう思うよ
けどね、ケンスケ、僕の妻でいるなら、それを理解してくれなきゃ困るんだよ
正当化はさせない
少くとも、僕は間違った方向だと思ってるから
………僕がそう言ってるんだ、耳を貸さないなら……

マサカズは、そこで言葉を止めたんだ



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