《MUMEI》
日暮れのカフェ
シンラが出ていってから数時間。
すっかり日は暮れていた。

「シンラさん……遅いな……。」

ミアが店のカウンターの椅子でオレンジジュースを飲んでいる。

「施設での記憶はあるんだよな?」

隣に腰かけて問いかけるクレハ。

「うん。けどそれは一年位前で、それ以前の事は曖昧で……。」

「一年前……?俺らの両親も一年前に交通事故でな………。だからこの店は俺ら二人でやってんの。」

「そうなんだ……。すごい偶然だね。」

「それにしても、あいつ遅いな……。」

壁に掛かった時計を見る。
時計の針は夜9時を指している。

「もう……眠たい……。」

欠伸をしながらミアが言う。

「じゃあ2階に空部屋あるから。そこに寝てろ。」

ミアを空部屋に連れていき、布団を敷いて寝かせると1階の店に降りる。

「兄さん、ただいま。」

その時、シンラが帰ってきた。

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