《MUMEI》

「カケル!」

それに気が付いたのは、ハルではなかった。

「……アカネ。」

「何処行くのよ。」

目を見ただけで不安感が見て取れた。

それでも俺は向き直るだけで、力一杯地面を蹴った。先程まで配っていたであろうサーバーは一人。
どうりで配布時間が掛かる訳だ。


しかし良かった。

あれなら一人で抑え込める。


あのサーバーはきっとあの男――…矢吹慶一郎と繋がっている!

いや、繋がっていると思いたい!

なんらかの希望を持ちたかった。

全力で広場を駆ける。


すると、一瞬でそのサーバーの前に届いた。そして間も無く右手をそいつの首元に伸ばす。

瞬時に止められる速さじゃ無かった。

しかし、そいつの右手はしっかりと俺の手を掴んでいた。掌からは在る筈の無い冷たさを感じた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫