|
《MUMEI》 続き。『あ、いえ…先日教会へ見えられた方と、似たような会話をしたので、皆さん同じ悩みをお持ちだなと…』 「そうなのですか、俺だけじゃなかったのですね」 『ええ、その方もいつも疲れているお相手を癒してあげたいのに、自分は怒らせてばかりで、どうすれば…と悩まれているようでした。』 「そうですか」 神父様の話に相づちを打ち、紅茶を口元へ運ぶ。 『あれ、そう言えば…』 神父様は、何かを思い出すような仕草をして、俺に質問をした。 『その指輪は、どちらで？』 俺の薬指に嵌まる指輪。これは、妻と旅行先で求めた品だ。原住民の手作りの物で、ペアの一点物だった。 『いえ、珍しいデザインだな、と気になったもので…そうですか、では貴方と奥様、お二人だけがお持ちの指輪なんですね？』 「はい、原住民の言葉に嘘がなければ、世界で二人だけの指輪ですね。」 俺の言葉に、大きく頷き微笑む神父様。 「あ、もうこんな時間。神父様、お話を聞いて頂いてありがとうございました。お陰で気持ちが晴れました。」 『そうですね、奥様が貴方の好物を作ってお待ちでしょうから…』 「では、失礼します」 『はい、良ければこの次は奥様とご一緒にいらして下さい。』 笑顔の神父様に、妻は実は男なのです。とは言えず、曖昧に笑って帰路へ着いた。 段々小さくなる男の背中を見送った神父様は、あっ！と叫んだ。 右のポケットから取り出した男物のハンカチを眺めて溜め息を吐いた。 『これをお渡しすれば良かったですね！』 先日見えられた、彼と同じ珍しいデザインの指輪を嵌めた、相談者の彼の忘れ物を。 『でも、またお逢い出来そうですので、その時まで仕舞っておきましょう。』 神父様は、にこりと笑い、胸元で十字を切り祈りを捧げた。 『今宵、互いを想い合う二人に神の御加護があります様に…アーメン』 おわり ＊＊＊＊＊ えと少し解りにくい話でしたでしょうか？ お題からも微妙に逸れた感が否めません。 読んでいただきありがとうございましたm(__)m 前へ |次へ |
|
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |