《MUMEI》

しばらく見詰め合っていた。そこで、誰かの足音が近付いているのを感じた。


「いい目だ。」


今までよりも格段に不敵な笑みだった。まるで、矢吹慶一郎と血縁が在るかの如く酷似していた。

足音は段々と此方へ近付いている。

届く距離に着く、半歩前で、広場にそいつの声が響く。

「臨戦宣言!」

その言葉と同時に近付く足音は消えた。止まった理由はほぼ反射だろう。

「周りに人は、大体居ねぇな。」

じろりじろりと周りを見渡す目には、怪しい光が灯っている。

何処かヤバ気で、狂ってる様な。

「カケル!」

ハルの声だ。

「ハルは来るな。」

朽葉の瞳は淡々と物語っている。

こいつは相当腕がたつと、直感で判断した。ハルも本能が恐怖している様でそれ以上近寄ろうとはしなかった。

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