《MUMEI》
グラッド ブロック
いつでもスキルを発動出来る様、ドゥーカスの刀身に魔力を込める。それに呼応する様に、刃が研ぎ澄まされていく様に感じる。

一見少し馬鹿っぽいアルテミスも闘いというものは弁えている様で、迂闊に飛び出したりはして来ない。


それに俺は安心していた。


右も左も判らないような初心者だと、逆に動きが読めないのだ。

「………。」

お互い、じりじりと同じ距離を保っている。

我慢出来なくなったのは、意外にも俺の方だった。

「行かせて貰うぜ。」

一応伝えてから、剣を抜かずに一直線。アルテミスの腹部を狙うように体を前方に傾け、猛スピードで短距離を駆ける。

アルテミスは見たところ 武器を所持していない。

そこから考えられて戦えるのは、召喚師か獣使い、詠唱魔導師等だろう。

そう思って飛び込むと、予想にかなり反した答が返ってきた。


アルテミスの掌が光り出した。


もう止まれないスピードのまま、その掌に注目する。フィールド外の不参加プレイヤー達にも息を呑む空気が流れているのが解る。

その光が膨張していく。

光は二つに別れ、段々と形状を留めていく。アルテミスまで残り五歩、というところで光が確実とも言える武器の形となった。

「直線的で殺り易いぜ、カケル!」

一つは弓に、一つは矢に。

つまり、こいつは射撃手だ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫