《MUMEI》

薄々気付いてたよ、ズット昔からさ
………目を逸らしてきただけさ
金だけだろ?、俺の役目は

………そう言われても、返す言葉がありませんね

それでも、良かったんだけどね
なんか、ムカついてきてよ

でしょうね……

決断したのは、愛奈が俺の子供じゃなかったからだ、
育て上げるつもりだったよ、
嫁ぐまでね
どのみち、そこで終わりだろ?
俺の役目はさ
お前が老後を俺と暮らすとは思えなかったしね

…………どうして、助けて下くださったのですか?

愛奈が泣いてたからさ……
切り捨てなきゃならねーんだけどよ、
幼い頃の愛奈がちらついてよ…

私が、愛奈をあんな風にしたんです
貴方になついてた愛奈に、本当の父親じゃないと話したんです

なるほどね……

お願いが有るんです、厚かましいことは、重々承知してますが、
愛奈を、高校に行かせたいんです

また、金か?
無職だぜ、俺

お願いします、他に頼るあてが無いんです、
お願いします

美希が土下座してたんだ

あの、高飛車で、気の強い美希が、土下座を

あのなぁ、別れた旦那に頼るって、おかしくねーか?
ましてや、俺の子供じゃなかったからだ種じゃねーだろ?

私が愛奈を言いくるめたからなんです、
愛奈は、本当の父親だと信じてなついてたんです!

今更、どうにもならねーだろ?

お願いです、何でもしますから?!
成績も悪くないんです
愛奈の将来を、失わせたくないんです!

俺に、なんのメリットがあるんだ?

家政婦として、雇ってください
身の回りのことを、私にさせてください

高い家政婦だよなぁ
それに、俺、一通り出来るぜ、めんどくさいからね飯は作らねーけど、
わりとマメなんだよね

知ってます………

無下にも出来ねーけどよ……
話だけ、聞くよ、
愛奈の成績見せてみろよ

は、はい?!

模試や通知表だ

はい、用意します

…………

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