《MUMEI》 暑い男〜麗羅視点〜 自分の席に座って本を読んでいると、誰かが私にスキップで近づいてくるのが視界に入った。 でも本に集中して気が付かないふりをする。 するとそいつが私の目の前で足を止めた。 私が仕方なく顔を上げると、ニコニコと笑顔を向ける男の視線とぶつかる。 笑顔のままそいつは口を開く。 「俺、中原 歩って言います! 入学式の挨拶、素敵でした!! 俺と付き合って下さい!」 大声で叫び終わるとガバッと勢いよくお辞儀をし、手を出してきた。 何こいつ……。 暑い――私がそいつに抱いた正直な感想。 私は、それでも眉一つ動かさず冷たく言い放つ。 「悪いけどそういうの興味ないから」 これでこいつは、もう私に絡んでこないだろうっと思い、私は視線を本に戻す。 今までもこんなことを言ってくる人は沢山いたけど、私の性格を知るとみんな近付いてこなくなったから。 こいつも他の人と同じだと思ったから。 前へ |次へ |
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