《MUMEI》

「はあっ!」

アルテミスが至極楽しそうな表情で空の俺に矢を向け、躊躇わず放つ。

「 全く…避ける身にもなってくれ――…よっ ! 」

言葉を発しながら足裏に魔力を溜め、そのまま反発させる。スキル名を詠唱しなくても発動出来る、簡単なスキルだ。

しかし、モノは使いよう。

この単純な技でも、正直者の矢は避ける事が出来る。
問題視するべきはそこでは無い。

「ほらほら、まだまだ行くぜ!?」

そう言うと、まるで想いに応える様にして掌が再び瞬く。

「お前の腰差しも棒切れ同然だなぁ!」


そう。地に足を着けない、という事が一つ。

遠距離タイプのアルテミスにとって、今の状況程安泰な事は無いだろう。

しかし、逆を行ってしまえば俺が剣の届く範囲までアルテミスに詰め寄る事が出来れば勝ちは決まったも同然、という事でもある。

が、残念な事に問題点はそれだけでは無い。

もう一つは、俺の魔力が尽きた場合だ。

これだけ普通に矢を放ちまくってるところを見ると、この魔法は、恐らく矢一本で魔力消費、ではなく弓矢を一定時間使い放題で魔力消費、というものだと予想出来る。

その時間がどのくらいかで勝因が決まる。


アルテミスが先に魔力を尽くせば、正直負ける気がしない。

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