《MUMEI》

特に焦らずに魔力を消費していく。アルテミスは自棄になったかの様に矢を放つ。

そろそろか……?

時間はかなり経っていた。俺は宙に浮いたまま時が経つのを待っていた。

フィールド外の観客は益々数を増やしていく。そして、ハルとアカネもひたすら俺を目で追っている筈だ。

「俺は、お前が考えている事、解るぜ。」

急にアルテミスが矢を止めた。

「……なんだよ?」

俺は宙に浮く必要が無くなった為、そのまま降下していく。

そして、アルテミスはねっとりと口を動かし、俺の図星を突いた。


「俺の魔力が尽きるのを待っているんだろう。」


「………!!」

動揺は見せたくなかったが、こいつはきっと聞き逃さないだろう。

唾の音、瞳の揺れ、僅かな表情筋の変化。

それをゆっくりと視認してから、アルテミスは又もや掌を光らせた。直感でまずいと判断するや否や、俺は降下軌道を修正し、アルテミスの真上に向かう。

そして、素早く腰差しを引き抜く。

シュリイィィイイン

美しい金属音を響かせた。

「俺はお前が大好きだよ、カケル!」

「生憎俺は大嫌いだ。」

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