《MUMEI》
真田さん
正月は橋の下かなぁ

そんなことを考えてた時、誰か来たんだ

母さんが玄関に行ってた

え?、真田さん?!

なんだ、眞由美、来てたのか?

浜崎を、下の名前で呼び捨てにしてる

うん………

浜崎がしおらしい

とんでもないことになった

この家に住めるのは有難いけど

翔太、お礼を言いなさいよね

姉貴に、そう言われたんだ

素直になれない自分がいた

奴らの親から慰謝料を取ってくれたんだ、
弁護士を使って
姉貴は、知ってたみたいだ
母さんもだ

本当に何から何までお世話になってしまって

母さんが頭を下げてた

翔太、考えといてくれよな
良い返事を期待してるよ

そう言って帰ってった真田さんだけど、
浜崎を送るって
浜崎も、普通に車に乗って帰ってったよ

車なんて密室なのにさ

人の世話になりたくないなら、俺を利用しろ、か、
言ってることはごもっともなんだけどさ

くそっ……

高校に行ける
真田さんの会社で働けば

この団地の保証人にもなってくれた

俺を助けに来てくれた

けど………

あいつに勝ちたくて、なのに……

浜崎……

あーもう、イライラする!

部屋に閉じこもったんだ
ふて寝しようと思った、けど、
眠くないよ

たくさん寝たもんなぁ

浜崎の香りがしてた

布団から

金持ちの息子で、昔、暴走族のリーダーやってて、
派手な車乗って
綺麗な女連れて

喧嘩も半端なく強くて

浜崎を、呼び捨てにしてる男

世の中不公平だよなぁ

足掻いても

くそっ!

畳を殴ったんだ

激痛だったよ、
指の骨が折れてたんだっけ

痛くて涙が出たんじゃない

悔しくて

俺は、何も持ってないガキなんだと

くそぅっ………クソったれだ……

俺は



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