《MUMEI》

アユミが、何処かへ電話を掛けようとしてたんだ、何度も

なによ、もう、なんで圏外なのよ!

へんだなぁ、運転してる初老の紳士は、車に備えてある電話で、確かに電話してたよな
こんな街中で圏外だなんて

それに、救急車を呼ぶのに、いちいち誰かに呼ばせるか?

優子さんから、依頼主のことは何も聞かされてない

けど、任務に忠実である事を願うわ、
そう言ってたよな

いくらもらえるのか知らないけどよ

ワザワザ俺に頼む理由が見当たらない

プロを頼めば良いじゃん

俺を安く使う

違うな、利益を求めるのなら、もっと別の方法があるはずだよな

アユミは、ふてくされてた
後部座席には、俺とアユミ

あれ?、パパの所に行くんじゃないの?

アユミが言ったんだ

いえ、こっちにお連れしろと仰せつかっております

誰にだい?

聞いてみたんだよね、

俺は確かに優子さんと連絡を取った、
その優子さんが迎にこさせた車に乗った
けど、依頼主のことは聞かされてないのに、依頼主の所まで送り届けろ

それは、送り届ければ依頼主がわかるってことかな

俺がわかる依頼主なんてさ……

到着した場所は、今、アユミが暮らしてる家だったみたいだけど、

お母さんが、コイツを雇ったの?

アユミが聞いてたんだよね

きゃっ!

アユミの手から、携帯電話が取り上げられてた

なにすんのよ!

黙りなさい!
そっちの坊やにも、聞きたいことがあるわ
真田の何なのかしら?

依頼主じゃねーってことは、確かみたいだな



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