《MUMEI》

俺もウトウトしてたんだ

すすり泣く声で目が覚めた

寒さは少し和らいでたようだった

俺の携帯電話の電池は切れてた、時間すらわからない

アユミの、お腹が鳴ってたよ

そうだ、アユミの肩に掛けた俺の上着から
チョコレートを取り出したんだ

一口サイズに包装されてチョコ
ネットカフェで配ってるやつを勝手に持ち帰った物だ

食べなよ、こんなのしかないけどさ

アユミが、二つ食べたんだ

悪いな、もう無いんだ

え?

俺を見てたアユミに言ったんだ

自分の分は?

ん、要らないよ、俺は

少し、話すようになって
アユミの事がわかってきたんだ

名字は真田だってさ、

春馬って知ってる?

うん、お父さんのお兄さんの息子だよ

なんてことはない、依頼主は真田さんなんだ

そして、もう一つ驚いたこと
それは、アユミの父親の職業は、世間で言うヤクザで
でも、そのヤクザの組を解散するんだってさ

解散されたら困る奴らがアユミを上手く利用するために、連れ出した、
今となっては拉致かな

アユミの父親は、外に出るなと、
アユミに言い聞かせてたそうだよ

ちちおやに反発してたのかな?アユミ

兄が居たそうだけど、死んじゃったんだって

また、泣いちゃったアユミを、抱きしめてたんだ

誰か来た!
現れたのはゲーセンに居たチンピラだ

手当をしたのかガーゼやら包帯やら、くっつけてたな

助けが来たよ

アユミの顔に笑が見えてた

敵の間違いじゃねーのか?

そう呟き立ち上がったんだ






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