《MUMEI》
続き。
『話がある』

爽やかイケメンや女子共を押し退け、有馬の手を引き教室を出ようとする。


「ちょ、和宮くん?」


チクリ…有馬の言葉に胸が痛む。和宮ね、カズとは呼んでくれないんだ。それは即ち…有馬の思い人ではないって事で。


「あ、カズ先輩。スミマセン、また後で。」


ジリリ…有馬の言葉で胸が焦げる音が聞こえた。カズ先輩ね、やっぱり…そうなのか。


…繋いだ手が熱い。有馬のせいなのか?それとも俺の?ともかく、人気のない校舎裏を目指す。


*****
有馬視点


あの日から、ずっと避けてたのに。何でこんな状況になってるんだろう?


期待しちゃいけない、たった一度きりの関係なんだ、と言い聞かせる為に髪まで切って気持ちの整理をしたのに…。


今、僕は彼に手を引かれ歩いている。繋いだ手が熱を持ち熱い。目の前を歩くカズの背中を複雑な思いで眺める。


「あの、和宮くん?」


おずおずと声をかければ、突然止まり、くるりとこちらに振り返る。



『さっきのアイツが…有馬のカズなの?』

「僕のカズ?」


何故か神妙な顔をした彼の質問に首を捻る。


『この前、言ってた。…カズ…スキ…って、Hの時』

「………え?」


…えぇっ、嘘、嘘嘘嘘ーっ、僕、無意識に彼に告白しちゃってた?焦りで顔が熱くなる。


『やっぱり、アイツなのか?そんな顔を赤くして…』


…あ、なんか、勘違いしてるっぽい?


「あ、あの和宮くん?」


誤解を解こうと口を開けば、彼に遮られた。


『なぁ、有馬。なんで有馬は俺に抱かれたいって言ったんだ?アイツに失恋したから?それともアイツとの本番の為の予行練習?』


「ち、違うよ。そんな理由じゃなくて…」


…どうしょう、君が好きだから、一度きりでも良いから抱かれたかった。なんて言ったら、困らせてしまうよね?


『あ゙ぁ゙っ、ごめん!有馬を困らせるつもりじゃなくて…俺、熱が引かねーんだわ。あの日からずっと、有馬の事が頭から離れなくて…で何でかな?って思ってて…』


「和宮くん?」


彼が、僕の両肩を掴んで真剣な顔で口を開く。



『なぁ、俺が有馬のことだけ見てるって言ったら、有馬も俺のこと見てくれる?』



「………ポクポクポクチーーン!えぇぇぇっ??な、なななんで??」


…言葉の意味を理解するのに数分要した。それほど有り得ない言葉だったから。


『俺、気付いたら有馬しか見てなかった、こんな気持ち初めてなんだ。』


『有馬好きだよ、俺と真剣に付き合って?』


…あぁ、そうか夢だ、夢を見てるんだ。なんて幸せな夢。僕は何時の間に眠ってしまったんだろう。


「和宮くん、僕も君だけしか見てなかったよ。カズ、大好き!」


…へへっ、夢なら言っても良いよね!夢の中ならカズって呼べる。あぁ、本当、なんて幸せな夢。夢なら醒めないで…


『…リマ?有馬、今の…本当?』


和宮くんの声が聞こえ、思いっきり抱き締められた。


「…っ、ふぁっ、へ?」


瞼を開くと眼前に和宮くんの嬉しそうな笑顔。


…げ、現実だった。嘘。


「あわわっ、あの…」


焦る僕の顔に、彼の端正な顔が近付いて…唇が重なる。


「ん、ンンッ…」


優しく甘い唇は、暫く離れる事はなく……。


*****


有馬くんの知らない、カズの噂話。


「カズってさ、絶対自分からキスしないんだって!本命以外には……」



終わり。


*****


な、長くなりました。
続き書いてみたのですが…撃沈です。

読んでいただきありがとうございましたm(__)m

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