《MUMEI》
ヤマトと言う男
世間様は夏休みが終わろうとしてるころ

俺はひとり、沖縄に向かうことになったんだ

転校生として、新しい高校に通うんだよね

見送りは断ったんだ
だから、駅まで歩いてたんだけど

明らかに、只者じゃない気配を感じたんだ
けど、殺気はない

誰だろう?

よう、翔太

気安く俺を呼ぶ男の子声

振り向くと、あの男が居たんだ

なんでお前なんかを守らなくちゃならねーのかなぁ、
つまらねー約束をしちまったよ
眞奈美、かなり良いぜ、濡れぬれでよ、たまんねぇよ、あの顔で見つめられるとよ

あの、倉庫で浜崎と一緒にいた男だ

きつかったぜ、バージンよ、膜もあったし、血も出てたよ
涙目でよ

無視して歩いたんだ

唇も、たまんねーんだぜ

何なんだろう、この男は?

もう、俺の女だからよ、ここんとこ、わきまえろよな

肩を掴まれた

そっかぁ、幸せしてんだなぁ、
良かった

けっ、根性なしだな、
眞奈美はよ、お前に惚れてたみてーだけどよ、
まぁ、男と女は肌を合わせるとね
すっかり俺の女になったって訳だよ

自慢しに来たのか?

足を止めたんだ

やる気になったか?
ひと目のねーとこに行くか?

その時だった

ヤマト!、貴様、何をしてる?!

女の声、聞き覚えがある
外人の奴らに襲撃されたとき、俺達を助けてくれた女だ

ちっ、なんでもねーよ!
邪魔が入った、また来るぜ、翔太!

ご無礼があったようで、
申し訳ありません

いえ、その節はどうも、

覚えていてくださったのですね

なにか、俺に用ですか?

いえ、ヤマトを追って来たのですが

しうですか、先を急ぎますので

あ、真田さん、お待ちください、
眞由美様のことでお話が!……

馴れ馴れしく、俺に触れるな

女が下がった、身構えて

俺、殺気立ってたんだ
自分が押さえられそうになかった

消えろ

そう告げて、その場から離れたんだ

殺りそうだったから

暴力的なんだよな、俺
女だけど、かなり強いよ、それは目の辺りにしてる
なのに、殺気を向けてたな、俺

どの道、長生きしねーな、この性格

あの女が引いてくれなかったら街中で

だめだ、暴れたい

やっぱり俺は、そうなってくのかもしれないな
これを期に、春馬さんから離れるか

けど………

くっそぅ、とにかく、イラつく!

イラつくぜ!



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