《MUMEI》

ザコでも数が多いと、

翔太、大丈夫か?

なんとかね、

死体の山だよ、何体居るんだ、くそっ!

足手まといだな、私は

たっぷり恩返ししてもらうさ、

そこのドアを開ければ脱出ポッドがある、
止血は待ってくれ
くそ、開け、開けよ!

冴木、血を拭けよ、指紋認証されねーんだろ?

冴木も、負傷してたんだ、
傷は深く無さそうだけど、出血が多いな

くそっ、俺もヤッベーかも、
キズは浅いけどよ、
筋力が、限界だ、

筋肉繊維が切れてるな、弱っちい体だよ、ほんと

よし、開いた、
こっちだ、翔太

誰か来る、物凄く早い、なんだ、この気配は

鳥肌が立ってる、

翔太、早く来い!

行け、冴木!

翔太?!

来たぁ!!
早い!

ガキィィーン!

ほう、やるなァ坊や、私のナイフを止めるのかね?

日本語上手いじゃねーか、外人さん

お前、ナチュラロイドだな、
船に残ってたんだな、浜崎のザコが

翔太ぁ!、離れろー!

タン、タン、タン、タン!

冴木の声に、横っ跳びしたんだ

この男、拳銃の弾を受け止めやがったんだ、
黒い、ライダースーツのような服で、顔面を太い腕で覆ってさ

ちっ、男が冴木にナイフを投げたんだ

ガッシィーン、カランカランカラン

投げたナイフを、俺のナイフで撃ち落としたんだ

武器が無くなっちまった、か、
オッサン、ホント足手まといだよな………

やるねぇ、そんな手誰が日本にも居たのか?

ズッリー、この男、もう一本ナイフを持ってらぁ!
ちっ、まだ、拳があるさ、

拳を握り締めたんだ

物凄い恐怖を感じてたのに、
やたら、燃えてるんだよね、俺、

死ぬかもしれねーのにさ、

でも、この強い奴を殺れるかもしんねーって、よ……



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