《MUMEI》 「水族館かー。彼女と見たかったな……」 ぽつりと東屋が漏らした。なんか不憫だ。 「いつか彼女と行くための下見と思えば?」 フォローし難いな。 「そーいや昨日富岡となんかあったんか」 「えっ、ないよ。」 富岡というか……。 「何、何?愉快な話かな?」七生が東屋との間に入って来た。 「んでもねー! さあさあ行きましょ、野郎五人で水族館に!」 東屋が颯爽と歩く。 七生と目線が合った。 ………………見ないで。 好きって言っちゃいそう。 パシャ 「南!グッジョブ!」 七生が俺を隠し撮りした南を讃え出した。 「カメラ嫌いゆっただろ!えい、乙矢ガード!」 乙矢の後ろに隠れた。 「……俺は!」 「七生はすぐ自分が面白い方に裏切るからやだ。」 「日ごろの行いが悪いからね……」 南の毒舌が冴え渡る。 結構堪えたらしくて可笑しい。 「いいから先に行け、東屋がはぐれる。」 乙矢に言われて一人遠くに見える東屋を追いかける。班行動だった……。 悪い東屋一人にして。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |