《MUMEI》
春馬さんと優子さんのウエディング
冬の匂いがしてた

昨日、春馬さんと優子さんが入籍したんだ

そして、今日、小さな教会で、結婚式をあげたんだ

参列者は少ない
春馬さんの身内には、今日撮る写真と一緒に報告するってさ

優子さんは、付き合いある親族は居ないから

冴木が来てた、酒井さんが車椅子を押してた

そして、眞由美が、来たんだ
あの時、俺と春馬さんが襲われたドライブインに助けに来た女と一緒に

式が始まってたから、何もはなさなかった

そして式が終わり、記念撮影

すぐ近くに眞由美が居る、なのに、何も話し掛けられずに居たんだ

俺の出る幕はねーしな、

眞由美が、大人びて見えた
相変わらず、綺麗だったよ

翔兄!

アユミ?

走ってきたアユミに抱きつかれたんだ

会いたかったよぅ!

アユミ、元気そうだね、
ほら、春馬さんに、会いに来たんだろ、挨拶しておいで

うん、

涙を拭いて、アユミが春馬さんたちの所に行ってたんだ

車を回してこなくちゃな

駐車場に、車を取りに行くと
ジープのでかいような車から、ヤマトが降りてきたんだ

今更どうにもならねーだろ?
眞由美は俺の女だぜ

お前、何しに来たんだ?
今日は春馬さんの門出だぜ、祝福する気がねーなら、消えろよ

しってるか?、まゆの、尻の穴の横によ、ほかろがあるのを
舐めてもなーんも、言わねーんだぜ、眞由美はよ

ヤマトを無視したんだ
そして、春馬さんの車を教会の正面に付けたんだ

二人が出てきた

後部座席のドアを開け、二人を乗せたんだ

俺が運転した

とくに披露宴とかも、予定はなかったけど、
アユミも来てる知って事で
急遽レストランを貸し切ったんだって

本当は春馬さんにやらせずに、俺がやらなきゃならないんだよな

ウエディングドレスの優子さん、メッチャ綺麗でさ

なのに、頭の中は眞由美の事ばかり考えてたんだ

一旦帰宅して、着替えてから、
ふたりをレストランまでお連れしたんだ

眞由美が居たら、声を掛けてみよう
話し掛けたって良いよな

でも、眞由美の姿はなくて

そっかぁ、ヤマトと帰ったのかぁ、って、

アユミが、まとわりついてきてた

冴木と酒井さんは、春馬さんたちと話してた

心、ここに有らずだな、俺

失礼だよな、春馬さんと優子さんに

たくさん、たくさん、話すアユミ

でも、

翔兄、具合悪いの?

あ………うん、少しね

………大丈夫?

うん、ごめん、へーきだよ、すこし、向こうで休んでくるね
たくさん、食べててね、アユミ

……うん

レストランの外に出たんだ

風が冷たかった

春馬さんのタバコをくすねてきたんだよね

タバコに火をつけたんだ

大きく吸い込んで、吐き出した

情けねーなぁ、俺、

情けなくて、涙が出たよ

泣くのなんて、久しぶりだな

なんなんだよ、この、止まらない気持ちは!

くそっ!

くそっ!

………眞由美は、もう、近くには居ないんだよなぁ



前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫