《MUMEI》
自分は何者なんだ?
なんだ、この、凶暴な奴は!

黙れ!黙れ!黙れよ!

何かが居る、俺の中に、

皆殺しにしようとしてた、
春馬さんも、優子さんも、アユミも!

いけない、早く離れなきゃ

抑えきれなくなる前にぃ!

微かに耳鳴りがしてる

人が居る、カップルだ、
だめだ、殺しそうだ!

誰もいない場所に行かなきゃ

どこだ、どこにある?!

うるさい音のバイク
やたらムカつく

くっそぅ、来んなよ!
死にてーのかよ!

そうだ、奪おう、あのバイクを
りせいが有るうちに、人がいない場所へ行かなきゃ

赤信号を無視して、アクセルをふかしながら、横断歩道を、横切ろうとしてるバイクの前に立ち止まったんだ

退けよ、ひき殺すぜ!

挑発すんなよ、クソガキ

な、なにすんだよ!

二人乗りの男を引きずりおろし、バイクをかっぱらったんだ

乗りにくいバイクだった
ハンドルは編に曲がってるし
音がうるさい割に力はねーし

ノーヘルで、首都高に上がったんだ
180`出ねーよ、クソ野郎どもの遅い

とにかく、離れよう、誰もいない場所へ行こう

邪魔な車のミラーを蹴飛ばしながら、爆音を立てて走ってた

そして、燃料がなくなったとき
オレは山の中に居たんだ

けど、配送のトラックが走ってる

くそっ、

人間のいない場所ってどこなんだよ?!

どの位歩いたのかな

真っ暗な山道なのに、わかるんだ

見えない筈なのに、なんとなく、わかるんだ

猛烈な寒さだった、けど、

やっと、落ち着いたよ

ここなら、誰も来ないよなぁ

いわに寝転んだ
火山で出来たのかな?
凸凹してた

脇腹に手を当てた

折れてる、肋が

治癒できる

何故か、そう思えたんだ

目を閉じてた、
木々で寝てる鳥の位置がわかる

何かが目覚めようとしてる、
俺の中で

眠ろう、
とにかく、眠ろう

けど、眠れるわけもなく、
溢れ出る凶悪な気持ちを、必死に押さえてたんだ

夜行性の動物が居る、
来るなよ、殺したまうぜ
来るな!

殺気を放つと、その、動物は逃げていったんだ

真夜中なのに寝ていた撮り達が羽ばたいた

邪悪な気持ち
全てを破壊したくなる気持ち

俺も、出来損ないのナチュラロイドなのか?

くそっ、どうすりゃぁいいんだよ!

くそっ!



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