《MUMEI》

「木下君は自分で思うよりずっと綺麗で、繊細で、泡みたいに脆い……そんな貴方を守りたいって思っていました。」


「富岡……、昨日は倒れて悪かった。あの日はいつだって、富岡に言いに行こうとすれば出来たはずなのに、別のことばかり気にして引きずって、勇気を出して伝えてくれた言葉なのに、何も言えなかった。情けないよ。」
告白なんて、そう簡単に出来るものじゃない。
昨日だって不安だったに違いないのに、俺はあの夜七生と…………。


「やだな、木下君を泣かせるの。
好きって言うのも躊躇ったんですよ?なんだか、木下君を傷付けるみたいで。そのくせ、私ってばズバズバ物を言っちゃうから……」
富岡がハンカチを渡してくれた。目から零れるのを拭き取る。


「全然、おかげですっきりした。自分の気持ちに踏ん切りがついた。」
彼女は、自分の力で幸せになれる人種だ。自分に相応しい人をきっと探し出すだろう。

「富岡が言った通り、俺には水瀬じゃない、忘れられない人がいた。怖かったけど腹を割って話して、好きだって言えた。」
水瀬も、富岡も魅力的な人だと思う。

でも、この気持ちに気が付いた今は誰よりも1番に七生を選びたい。

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