《MUMEI》 常習犯。僕の手を握る殖野さんの手は徐々に降下し、ある場所に押し付ける。 おっぱいだ。 「なっ!?」 「お、男の方は………こ、こういうのがお好きなんですよね?」 大好きだ。 「ちょ、やめてください!そもそも僕には彼女いるから!」 「お、お願いです……。両親には報告しないでください……!」 「だからそういうわけにはいかないんだって……。悪いけど決まりなんだ。いくらそういうことしても、これは覆せない」 「…………そう」 殖野さんは手を離し、立ち上がると、店の奥、休憩室に入っていった。 扉は完全に閉まらずに、半開きになっている。 僕は盛大にため息を零す。 心臓が口の中から出てきそうだ……。 「………ん、あれ?あっ」 目を離してしまった……! 休憩室には人が通れるほどのサイズの窓が一つある。カバンはここにあるが、先程確認した時、中には身分証明になるものは一切入っておらず、完全に万引き専用の使い捨てバッグだ。財布は殖野さん自身の服に……… 「まさか……!」 あんな事を言っておきながら、彼女は常習犯だ!手口もかなり鮮やかだったし、新人の僕が気付けたのは、慣れている人の動きよりもぎこちなく、彼女の意表を突けたからだ。 僕は急いで休憩室の扉を開いた。 その瞬間、全身に何かが巻き付き、体重の倍ほどの負荷が全身に襲う。 倒れた場所には布団がひいてあった。 「ぃつつ……、!?」 口に何かを押し付けられた。 前へ |次へ |
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