《MUMEI》

指から糸で下げた5円玉、
指を動かさずに、跳ねあげる

ビイーン

あっ、糸が切れちゃったょ

五円玉が天井にぶつかって、落ちてきたんだ

手品師にもなれるね、俺

疲労感は、どうだ?

ん、そりゃぁ疲れるけど、別にマラソンするよりはね

父は、グッタリしてたわ、
全力疾走したあとみたいに、
何度もやってとせがんだけど、たまにしかしてくれなかったもの

手の甲にのっかるんだよな?

うん、こんなに動かない、
別格の力だと、思う

眞由美が、そう答えると

早死するから、口説かないの?

優子さんが、話題を戻したんだ

また、その話し?

なにを怯えてるんだ、翔太?

春馬さんが、聞いてきた

俺、黙っちゃったんだよね

わかってるだろ?
方法はともかく、将太を思ってしたことなんだと、
わかってるよなぁ?

翔太だって、色んな娘とエッチしたよね?

眞由美様、女性から想いを打ち明けてもよい時代だと思いますよ

ぬぇ、なんでそんなに皆が必死なの?
何があるの?

ほずれた糸を戻したいだけだよ、
俺は、優子とそうできた、
ずっと、蟠りがあったんだ、
それを、消せたんだよ

私もよ、貴方のおかげよ、
だから、結婚に踏み切れたの

見てられません、眞由美様の苦痛な顔を、
お辛かったと

何がなの?!

翔太様、女は

また敬語?

……考えて差し上げてくださらないんですか?
喜んでそうしてたわけではありませんよ!

はっきり言ってよ、なんなの?

言葉にさせたいんですか?!

なんで、できないの?
軽々しいことじゃ無いからだよね?
自分の意思でしたことでしょ?
善悪とかじゃないよ、
選んだってことだよね?

それは、

なんで、綾波が答えるの?
おかしくない?

翔太、あなたもよ、
想いを口にしてないわ、同じよ

そうだね、
でもさ、それって、口に出したくないからじゃないのかな?

どういう、意味?

優子さん、やからないの?
ゆうこさんは春馬さんに言えたの?
犯されたあと……

上辺はね、蟠りはあったわよ、ずっと、お互いにね
けど一緒にいたから消える時が来たの、
翔太の、おかげってのも、あるわ、けど、
自分たちの努力もあったのよ
貴方は努力してるのかしら?

大人だね、

大人になりなさいよ

なれないんだ

どうして?

犯されたわけじゃないでしょ?

それが、理由か?!

春馬さんが立ち上がったんだ

意味が、違うよね

お前なぁ、じばくぞ!
どんな気持ちで耐えてきたと思ってるんだぁ!!

胸ぐらを掴まれたんだ

………どんな、気持ちで俺が生きてきたと思ってるの?
奴に、ネチネチ言われてよ、
どんだけ我慢してきたと思ってんの?!

あ、アユミが、言ってたわね、そんなことを、

何か?、あったのか、レストランで揉めたとき

あっ?!春馬!違う、翔太勘違いしてるんだわ!
とっくに別れてて、貴方に取られるのがいやでアイツ

生きてて、ごめんなさい!!

あっ、眞由美、どこ行くのよ待ちなさい!

眞由美様!

…………なにしてんだよ、追い掛けろよ!

え?

えじゃねーバカ野郎!

ガン

うぐっ、

殴られた、春馬さんに

いけない、また、自殺を?!

自殺?!
なにそれ、綾波さん?!

いいから行け!早く!!

春馬さんが激ってたんだ



前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫