《MUMEI》

ファイティングポーズをとるなり、まるで無警戒にキアンちゃんへ近づいていく。

これには彼女もカチンときたのか、気合と共に鋭く息を吐き、飛び込んでの横蹴り。

それをサイドステップで避け、左のジャブ――当たった!?

かわされると思っていたのに予想外だ。

キアンちゃんも効いたというより驚いた表情をしている。

偶然……ということはなさそうだ。

しかし驚いた表情は一瞬。側転を繰り返し、最後は大きく後ろに跳ね、後方三回宙返りで距離をとる。

体操選手顔負けの動きだな。

向こうは相当オレを警戒しているのか、中々かかってこない。

「今度はこっちからいくぞ。よく見てろ」

また囁《ささや》く声が出てしまうが、これはつまり……オレに話しかけてきてるのか?

言葉通り、こちらから飛び込んでの左ボディから顔面へのコンビネーションでキアンちゃんがよろめく。

また当たった。

彼女の様子を見る限り、手を抜いてるワケではなさそうだ。

……ってことは、オレが強くなってるってことになるのか? 自由は全《まった》くきかないが……。


不意に自分の身体に視線が落ち、『ソウル』を発動した時に出現していた黒い瘴気《しょうき》の変化に気が付く。

一際《ひときわ》濃い瘴気がオレの身体を覆《おお》っているのだ。

これはどういう――聞き覚えのある鈍い音が聞こえた。

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