《MUMEI》
北硫黄島
見たことない、湿布のようなものを、
俺の切られた箇所に張り付けてるのは、アメリカ人のお医者さん?

酒井さんが来た、

寝てなきゃダメよ、

うん、なんで、米軍さんが治療してくれてるの?

電磁ナイフで、切られた箇所は、縫えないの、

そう、

輸血しなきゃ、危険よ

俺、輸血出来ないよ、誰とも合わないから

わかってる、わかってるわ

なんで、泣くの?

酒井さん、なんも答えてくれなかった

その時米兵が、来たんだ

英語で何か話してる

翔太、助かるわ、頑張って、
もう少し頑張ってよ!

俺には何がなんだかわからなかったんだ

……ねぇ、あの少女は?

弔うわ、この島で

うん……

しばらくすると、慌ただしくなったんだ

俺、車輪付きのベットで運ばれ出したんだ

目を疑ったよ、
垂直りりく出来る輸送機から、トラックが降りてきて、
そのトラックには風雅の文字が

そのトラックに運び込まれると

眞由美が、いたんだ

真っ直ぐ俺を見てる眞由美

輸血?

眞由美の血液を?

必ず、助かるからね、
安心して、眠って

眞由美の言葉にうなづいたんだ

ゆっくり目を綴じた

眞由美の指が、俺のオデコを撫でてる

眠ろう、

今は、眠ろう



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