《MUMEI》

チーム綾波が、周辺警護に、あたってる?

北硫黄島に居るんだ?

俺はトラックの中で医療設備に囲まれてたんだ

トイレとシャワーもある
すんげーなぁ

一通りの検査を終え、体を拭いてもらったんだ

ねぇ、なに?このシールのようなの

皮膚組織を再生する薬が塗られてます、
日本ではまだ、認証されてない物ですけど、
なにか、差支え有るのですか?

そう答えた医療スタッフに

ううん、そんな物も風雅では使ってるの?

って聞いたんだ

いえ、米軍からもらったものです
役に立つなら使ってくれと
電磁ナイフはアメリカが生産国ですから、
治療方法もわたくし共よりは、

そう聞かされたんだ

米軍からって
まぁ、全部が敵じゃないにしろさ
そんなことしてくれるとは思ってなかったし

俺の驚きは、さらに増して行ったんだ

対戦相手だった国の奴等が俺に近づけないよう
装甲車と戦車まで出して、米軍が警護してくれてたんだ

奴等は自国の、船で帰国していったよ、
そして、あの少女の葬儀

空砲を鳴らし、黙祷を捧げてた
自衛隊も、米兵も

眞由美に、付き添われ、葬儀に出たんだ
俺の周りは、チーム綾波に警護されてた

北硫黄島、第二次世界大戦で
日本とアメリカが激戦を繰り広げた島だそうだ

戦没者の慰霊碑が、たくさんある、
その一つに、あの少女が眠るんだ

13歳だったって、
まだ、全然生きてないじゃんかょ

なんなんだよ、

酒井さんから聞かされたんだ
乏しい農村の出らしい、
自分が活躍すれば、家族は食事を食べれる、
お腹いっぱい、食べれる

なんなんだよ

怒りと悲しみが俺を支配してた

ぶつける先を探してる自分がいる

眞由美が、俺の手を握ったんだ

拳は、もう、要らないよ、

そう言った眞由美の顔は、とても哀しそうで

アメリカ軍の司令官が来たんだ

あの時葬式をしようと、俺に日本語で話し掛けてきた人だ

酒井さんが通訳してくれた

君は生きなければならない、
ジェルバ遺伝子を、根絶やしにしなくてはならない
君は、それを、背負わなくてはならない

そう、言ってたんだ

そして、最新鋭の垂直離陸するアメリカ軍の輸送機で、
本土まで送られたんだ

飛び立つ時、たくさんの自衛隊員とアメリカ兵に、敬礼された

降り立ったのは、風雅ベース

気持ちの整理がつかないまま、
メディカルルームへ入ったんだ

本格的な治療を施された
検査もされた

そして、ひとり、地下最下層の、パワードスーツが置かれてる部屋へ行ったんだ

エバ、君は俺に何をさせたいんだ?

俺の覚醒を望んでるのか?

悪魔を呼び起こすつもりなのか?

………これを、着る時が来るんだろうか?

値がわくば、着たくないよ
エバ、君の真意が知りたいよ



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