《MUMEI》
八月十五日さんはニジヲタです
僕こと、八月十五日 葉走は十七歳。
名前を呼んでもらえなかったりする。
原因は特殊な読みにあった。
『八月十五日』と書いて『あきなか』、『葉走』と書いて『ばじる』。
そんな八月十五日さんはきょうもネットでの活動に勤しんでいた。
彼は無口だ。
それ故友達が限り無くいないに近い。
そんな八月十五日さんにも今日は一本の電話が来た。
普段からバイブマナーにしている携帯が震えるとヘッドフォンを外しそれを耳に当て会話を始めた。
「…八月十五日、…講習?」
『それがさぁ、先生が面白いらしいの!どう?行かない!?』
「…結構だ。それに勉強は真剣に取り組むものだ、楽しんでやるのは好きじゃない」
葉走は電話の相手に冷たく返すも次の言葉に屈した。
『いや、葉走のノート落ちてたからついでに渡そうと…』
と、言いかけたところで葉走の「すぐ行く」という言葉に遮られた挙げ句、通話終了の画面に切り替わる。
そして炎天下、真夏日の人混みの世界に溶け込んだ。



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