《MUMEI》

「乙矢どうしたの。」
……いいところで来ててくれてありがとう、と心の中で呟く。



「班長代理に連絡をしに。あと、風呂行くよな?」
言うことは頭に入っているようだ。



「うん。」


「……俺、時間ずらして行くかな。」
七生の顔が深刻になる。


「具合悪いの?」
顔色を見る。






「……風呂はヤバい。だって、全裸だろう!

二郎を前に平静でいられねぇよ……」
頭を抱えてなんつー事をほざいとるんだ。
乙矢も南も呆れている。



「一生入るな。」
言ってろ。


「あのさー、お前もう男が好きなんじゃない?」
南は七生との距離を測る。



「馬鹿南!
二郎以外は範疇外だ!
二郎の体はなんつーか……凄い、そそられる?とにかく普通の男でもくらっとする何かが出てんの!」


「……!」
ちょっ、人前で変なこと言うな!恥ずかしい。何かって何だコラ!



「はいはい、じゃ、先に行くから。荷物早めにまとめておくこと。」
乙矢が面倒そうに連絡事項を述べている。


「二郎を頼んだ。」
頼むな馬鹿。


「お前以上の危険人物はみつからねーよ。」
南の的確な指摘。
洗面道具を持って廊下に出た。隣の東屋達を待つ。


「面倒なのと付き合ってるよな。もう愛想尽かしたりしてる?」
南が七生に厳しいのは俺をからかうのと同じ愛情表現故なのか?


「……今の所は。」
視線を伏せて七生を思い出す。俺だって、七生だけだし、裸よりも二人脱衣所で並ぶことの方が昨日のこと意識しちゃってまずかったかも……。

しかし、あれ程わかりやすい態度だと逆に拍手を送ってやりたいね。
別々に入るって公言してくれたってことは俺のことを大切にしてくれてはいるのかな?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫