《MUMEI》

そっかぁ、眞由美も戦ってたんだね、
押し付けられた、定めみたいなモノと

眞由美が俺を見てない、
唇を噛み締め、震えてた

蟠りは消えないけど、
理解できたよ、

翔太?!
そんな
蟠りなんて消えてくわ!
私と春馬がそうでしょ?
レイプされてるのよ、春馬が見てる前で!

そうだぜ、翔太、
その話も伝えたい、お前たちに!

優子さんと春馬さんの言葉になにも応えず

大好きだよ、眞由美
誰よりも眞由美が大好きだ

眞由美が俺を見た、大きな瞳に涙を溜めてる

アイツのこと、俺、大っ嫌いなんだよね、
その大っ嫌いなやつを受け入れたんだ、
蟠りなんて消えねーよ、

眞由美の頬に伝う、涙

でも、真っ直ぐ眞由美を見れるよ、
なんとなく、わかる、
どうして眞由美がそうしたか
アイツと、暮らして、幸せじゃなかったんだね

眞由美が、瞳を綴じると、
溢れるように涙が溢れてたんだ

体、売ろうが、レイプされようが、
俺はなんにも変わらないよ、
そんなことで眞由美の価値は下がらない、
でも、アイツハ大っ嫌いなんだ、
消せない、この、気持ちは、
眞由美を大好きな分だけ募っちまう
それでも、手を、離したくない

眞由美は、瞳を綴じたまま、
うつむいてる

家で待ってるよ、
こんな俺でも、選んでくれるなら来てよね

首を横にふる、眞由美

とにかく、待ってるから

そう言って、席を立ったんだ

翔太、眞由美はそれを、消して欲しくて

優子さん、無理だよ

翔太!

春馬さん、春馬さんは何年かかったの?
理解できたからって、はいそうですかって、出来ねーよ!
ガキと、笑ってくれて構わねーよ、
今の俺の精一杯なんだ!

翔太………

眞由美とセックスするのが目的じゃねーよ、
エッチできれば良いだけなら、こんな話しなんかどうでもいいよ、
すぐに消せるようなもんじゃねーよ

そう言って、内ドアから、自分の家に行ったんだ

眞由美、来なかったんだ
夜になっても

春馬さんが来た

優子と、話してるよ、
結論、急ぐなよな

そう言った春馬さんに

何となく、わかってたんだ、
それなんだなって、
眞由美は消して欲しいんだよ、それを、

少し違うぜ、
消せないんだなって思ったからこそ、
見せたんじゃねーかな
あんなムービーをさ

小さい男だな、俺
けどさ………
なんなんだろ、俺のプライドなのかな?
わかんねーや、
この気持ち、なんなんだろ?

そんな会話をしてたときだった

携帯電話から、緊急呼び出しのコールが鳴ったんだ

!、このコールは?!

緊急事態だね、
行かなきゃ、俺、

翔太!

………眞由美を、お願いね、春馬さん

屋上に向かったんだ
へりが見える

冴木に電話したんだ

翔太、すまねーな

せんそうでもはじまったのか?

似たようなもんだ、
へりが見えるか?

見えるよ、ちゃくりくしようとしてるよ、日の丸入ったヘリがね

乗ってくれ、
装備は届ける、酒井を行かせる

わかった

短い会話だった

屋上のヘリポートに着陸したヘリは、迷彩色のヘリ、
自衛隊のヘリだ

行けばわかるな、何が起きたのか
ったく、うざったらしいぜ、ほんとよ!



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