《MUMEI》
大丈夫だから
「どうしたっ!?」


司と洋平は同時に振り向く。

見れば、汗をビッショリとかいた美樹と優香の姿があった。


「おい!大丈夫か!?」


二人とも顔は真っ青で、目を見開いたままブルブル震えている。

普通ではないその様子に、洋平の頭に嫌な予感が過ぎった。


「お前ら…もしかして…」

自ら体験したあの悪夢。


自分達を呪い殺すと言っていたあの女の…


「………見た…のか?」

「い、嫌…やめて…」


美樹は更に怯えだす。

その様子から、それは明らかだった。


「…見たんだな?」

「助けて…」


今まで味わった事のない恐怖。
“死”がこんなにも身近に感じた事があっただろうか。



あるわけがない。



「やだやだっ!私、死にたくない!!!」

「大丈夫だからっ!」


取り乱し、泣きじゃくる美樹を洋平はギュッと抱きしめた。


「大丈夫だから…。」

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