《MUMEI》

朝を迎え、別れの時

ふたりが泣いてたんだ

キスして

その言葉に、

舌を交えるキスをした
ターニャとソフィアと

通訳のゼルダと爺さんに送られ、
国境へと、向かうキャタピラの車の中で、

涙を、初めて見た

ネオロイドは人間だ

爺さんの、言葉を、ゼルダが、訳してくれたんだ

翔太、ありがとう

別れ際、爺さんが、言ったんだ
そして

ゼルダ、日本まで送って差し上げなさい

そう言ったんだよね

断ったんだ

ゼルダさん、テクノロイドでしょ?

はい

爺さんを守らなきゃ、
俺は一人で何とかするよ

ですが

この国はいいね、
ネオロイドも、ナチュラロイドも、テクノロイドも暮らして行けるもんね

カテゴリーじゃないよ
悪い奴はどこにでもいる
俺の中にも居るんだ

でもさ、どうするか決めるのは頭だよね

テクノロイドの全てが悪じゃない
ネオロイドの中にも、悪はいるかもしれない

悪は、己の欲望だけに走るやつ

弱肉強食で構わないよね、
でも、欲望だけで、人を喰らうやつは悪だよ

生きるためには喰らうさ、
けどさ

それで、ターニャたソフィアを、女にしなかったんですか?

やりたかったなぁ、メッチャしたかったよ
俺がもっと強くて、お金もあって
奥さんたくさん持てるならさ

ゼルダご笑ってた

始めてみたよ、笑顔

じゃぁ、行くね

翔太、これを持っていけと

ん、なぁに、これ

日本で言う、お守りです

そう、ありがと

ネックレスみたいのを貰ったんだ

それを首にかけ、国境のゲートに向かったんだ

迎えが来てるそうなんだ

どんな迎えかは知らないけどさ
爺さん、まだ、見送ってらぁ

手を振ったんだ

爺さんとゼルダも、手を振ってたよ



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