《MUMEI》
一目会いたい
何が出てるってな。何の変哲もない貧相な体だ。

頭を洗って鏡の自分と目を合わせた。


むしろ劣等感が……、だって俺より小振りな南も腹筋出てたし。平均高二男子よりも体重痩せてるになってたし、身長とも合わない。栄養失調とかみたいな筋力の無さ。

俺だって、乙矢や七生のような胸板の厚さや腹筋が欲しかった。

家系のせいか木下家は皆弱々しい。



「…………いいな」
ぽつりと乙矢に向かって独り言を吐き出す。









「鍛えようかな、今からでも遅くない?」
脱衣所で下だけ全部穿いて自分の肋を触る。よく生きていられたもんだ。ここ最近ストレス痩せしたこともあって本当にやばい、死にそう。


「無理するな」
生れつき恵まれてる体格の乙矢には解るまい。


「止めとけ、筋肉痛になるのがオチだ。逞しい木下なんで想像出来ねーもん」


「東屋だって下腹出てるくせに!」
東屋の腹の肉を掴む。

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