《MUMEI》 3日向は1つのマンションを見上げるようにして立っていた。 ESO社員寮。 入居者は全員守護者もしくはその存在を知る者であり、機密保持という点で優れた住居。 アリシアは光に対して住むように強く勧めたそうだが、彼女は最後まで首を縦に振らなかった。 日向も自分でアパートを借りているのでここに足を運ぶ必要はない。 しかし、今日は用事がある。 光と別れた直後、見計らったかのようにアリシアから連絡があったのだ。 「アリスのヤツ……絶対に監視してただろ……」 なんでも、日向1人ではきついと思ったのか、協力者を付けてくれるらしい。 7時に入口で待機するようにとの指示だったのだが……。 腕時計の針は約束の時間を30分過ぎていることを示していた。 「来ないじゃねーか!」 苛立ちまぎれに叫ぶ日向。 入口横の詰所にいる警備員が胡散臭そうに日向を見ている。 ……これもアリスの振り回し癖か? 「あ、ハジメじゃん もう来てたんだー」 不機嫌な彼に対して緊張感の無い声がかけられた頃には時刻は8時を回っていた。 「よりによってお前かよ」 呆れた様子の日向の前に1人の小柄な人物が立っていた。 「嘉月誠、登・場!」 ……面倒なヤツを引いてしまった。 前へ |
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