《MUMEI》
ばか…
次の日…
「海、広いでしょ?」
「景色も青々としてるわねー」
「あぁ、確かに」
「そうだ、二人共泳げる?」
「私、泳げない…」
「俺、泳げるよ」
「じゃあ君土君、泳ぎ方教えて!」
「いいよ、夏樹もな」
「…ハァ!?」
まっ…いっか…
「おっ彼方いい感じだぞ」
「夏樹駄目だな…」
「泳ぎ下手で悪い!?」
「い…いや…」
「君土君、平泳ぎ出来てる?」
「あぁ、なってるよ」
「……」
「クロール出来るか?」
「うーん…難しいな〜」
君土、こっち向いてよ…君土…
「じゃあ、お昼にしようか」
「夏樹〜」
「はいはい」
「じゃーん♪」
「おお!凄い!」
「えへへ…張り切って作っちゃった」
「弁当作り上手いんだな!」
「うまー!」
「どうしたんだ夏樹、お前も食べろよ」
「うるさい!バカ!」
「何だよ夏樹…」
ポロポロ…
「えっ!俺、何かしたかよ?」
「ばか…」
「あっ、待て夏樹!」
「何だよ〜本当に…」
「君土君待って!」
ガシッ!
「ど…どうしたんだ彼方!?」
「ずっと、ここにいて…」
「彼方…?」

君土のバカ!
毎回ひいきして…
私の気持ちも知らないで…
でも、こんなことで逃げる私じゃないし…
戻るしかないわね…
「私君土君が好きなの!」
「でも…俺…」
「他に好きな人いるの…?」

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