《MUMEI》
逆光に陰るその姿で…。
*ギャグとして読んで下さると有り難いです。


放課後、夕日に染まるグラウンドの片隅。他の運動部の邪魔をしないように、との配慮。

夏も近く、汗ばむ季節に暑苦しい学ランを羽織り練習に励む一人の男。

西には茜色の傾く太陽。
−−逆光に陰るその姿。


大正時代創立の名門男子校。ここには古き良き時代の遺物、いや名残?の部活がある。

−−応援団。


男は、別に入りたくて入った訳ではない。近所の歳上の幼馴染みに無理矢理入らされたのだ。

だが、元来の生真面目さから練習をサボる事もせず、鍛練を重ねた結果、二年生にして、応援団長の地位を手にいれたのだ。

今時、むさ苦しく暑苦しい応援団が人気がなく、部員も少なかったせいもあるのだが。


とにかく生真面目なこの男。いや団長は、部員の過半数が幽霊部員、残りが塾やバイト、合コンなどの理由でサボる練習を、毎日たった一人でやっていた。


『超カッケー!!』

そんな団長をみて、声をあげた者がいた事を、団長は知らない。



*****


いつもの様に、団長はグラウンドの片隅で、練習に励んでいた。

黒の長ラン、幅広ズボン、幅広の白いリボンをたすき掛けにして、白手袋をはめ、佇む姿。

大正時代から続く伝統の型を、次々に繰り出し、練習をこなしていく。


…と、背後から忍び寄る影。次の瞬間、団長の背中がズシッと重くなった。


…なんだ?

元来、物事に動じない団長は、ゆっくりと首をひねり背中をみた。


『えへっ、こんにちわ。団長さん!』

背中には、見知らぬ男子生徒が張り付いていた。


「…こんにちわ」

団長の生真面目、発動。
挨拶には挨拶を返す。例え、いきなりおんぶして来た相手でも。


『団長の背中、お父さんの背中と一緒だぁ!』


「……そうか」


内心、団長は少し凹んだ。団長とて17才の若い男なのだ。背中がお父さんと言われて悲しくなった。俺の背中はオッサンなのか、と。


だが、敢えて何も言わないのが団長なのだ。男は黙って…なのだ。


『お父さんにオンブされてるみたいで嬉しい。もうオンブして貰えないから』

背中の、オンブ小僧はそう言った。


「……!?」


団長は愕然とした。そして悟った。背中の子の父親はもうこの世にはいないのだ、と。その父親の背中を俺の背中にみて、思わずおぶさってしまったのだろう、と。背中の子の気持ちを思い、団長は心で涙した。


団長の勘違い、発動。


「思う存分、オンブしていけ。」


オンブ小僧の父親は存命している。ただ、息子が育ったのと、椎間板ヘルニアでオンブ出来なくなったのだ。


いや普通、高校生の息子をオンブする父親は滅多に、いや皆無だろうが。


『ダンチョ〜〜ウゥゥ〜!!好き、大好き』


耳元で叫ばれた。


「ひぅっ、んっ」


団長の肩が、驚く位に跳ねた。危うく、背中のオンブ小僧を落としかける程に…。


団長の弱点、発覚。


実は団長は、耳が感じやすかったのだ。つまり耳が性感帯だった。


『えへへっ』


背中のオンブ小僧が、嬉しそうに、ニンマリと笑った。


この後、背中のオンブ小僧に散々、耳を弄られ舐められ、堕ちた団長でありました。


でも、背中のオンブ小僧は、決して落としませんでした。


何故って?それが団長だから、です。




おしまい


*****

なんか異色CP誕生しました(-.-;)
オンブ(フェチ?)小僧×生真面目耳弱団長


スミマセン、毎度変な話で(汗)気分がラリホーな時に書くもんじゃないですね、失礼しました。

読んでいただきありがとうございましたm(__)m

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