《MUMEI》
ぱっと見ほのぼの、実は…な話。
『たっだいまぁぁ〜』

玄関を勢いよく開けると、見覚えのない靴が一足。

この家は、僕と燐さんの二人暮らしだから、即ちこの靴は……。


『燐さん、お客様?』


「おかえりなさい、洋輔くん。えぇ、そうですよ。」


そう微笑む燐さんは、僕の恋人。優しくて、格好よくて、料理上手で、背が高くて、年上で…。

ラブラブな僕らは、只今同棲中なのだ!


『お客様、久し振りだね!』


「クスッ、えぇそうですね。洋輔くん、とても嬉しそうですね。」


『え〜だって、ねぇ、お客様だから、今夜は御馳走なんでしょう?』


「はい、楽しみにしてて下さいね。」


燐さんに笑いかけ、僕はリビングへと向かう。リビングには、小肥りなオジサンが、ソファーに遠慮がちに座っていた。


『こんにちわ!』

僕はオジサンに挨拶したけど、オジサンは緊張してるのか、お返事をしてくれなかった。


『オジサン、今日は御馳走なんだって!楽しみだね。』


「………」

あれれ、オジサンは人見知りなのかな?やっぱりお返事してくれないや。


『大丈夫だよ、あのね燐さんは、とっても料理上手なんだ。』


僕がオジサンに話し掛けてると、燐さんがやって来て、料理が出来るまで、部屋で勉強してるように言われた。


『うん、じゃまたね、オジサン』


オジサンに手を振ったけど、俯いてるオジサンは気付いてくれなかった。ちぇっ、つまんないの。



*****


「洋輔くん、出来ましたよ。」


燐さんの声で、ベットから跳ね起き、一目散に食卓へ走る。


『うっわぁぁ!』


テーブルの上には、所狭しと御馳走が並んでいた。


「お待たせしました。さあ、洋輔くん。いっぱい召し上がれ!」


燐さんがにっこりと微笑む。


生レバー、お刺身、唐揚げ、しゃぶしゃぶ、ステーキ、スープ…。


『わあっ、良かったね。オジサン!』


僕は、お腹いっぱい御馳走を堪能した。


『ぷはっ、もう食べれないよぉぉ』


「クスクス、洋輔くん。もう御馳走さまですか?」


『うん、燐さん。お料理、とても美味しかったよ。御馳走さまでした!じゃ、僕はお風呂に入るね!』


「あ、洋輔くん。お客様にご挨拶は?」


『あ、そうだ。オジサン、ありがとう!美味しかったよ!』



僕は、テーブルの真ん中で、脳みそスープの受け皿になっている、オジサンの頭部に向かってお礼の挨拶をした。



『ねぇ、燐さん。毎日お客様が来るといいね!毎日御馳走を食べられるからさ!』


そう言った僕の頭を撫でて、えぇ。と微笑む燐さんは、とても綺麗だった。



おしまい


*****


ホラーになっていたでしょうか?一応BL要素も入れてみました。


読んでいただきありがとうございましたm(__)m

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