《MUMEI》
二人で
この車狭いね、

うん

あ、また変なことかんがえてたでしょ?

え?

アイツの車はでかかったよな、とかさ

考えてないょ

そっかぁ、ねぇ、海に行こうよ

図星だったんだけどね、
言われたまま、海に向かったんだ

サンルーフを開けようと、天井のスイッチを、探してたらルームランプが付いちゃって、
んで持って開いたと思ったらチルトアップしただけで
あーでもないこーでもないってスイッチを弄ってたら指が触れてさ

やっとサンルーフが開いたんだけど

指が恋しくて、眞由美の手を握ったんだ

そのまま、運転してた

あんまり会話はしなかったなぁ

夜の浜辺を散歩したんだ

海沿いのレストランでお茶してさ

たわいない話ばっかりしてたんだ

昔ばなしが多かったかなぁ
中学生の頃、眞由美と出会った頃の話がさ

車に戻ったとき

皆のパンツ脱がせて見てたよね、公園で

ぁは、懐かしいなぁ

エンジンを掛けたんだ

どこ行くの?

ん、どこ行こうか?

どこでもいいよ

困ったなぁ、デートなんかしたことないしさ

ねぇ、みんな見るね

眞由美が美人だからだよ

そっかぁ、
で、この車って凄いの?

うん、たぶん新型のポルシェだと思うよ

高いの?

値段は知らないけど、高そうだよね

車をを走らせたんだ

高速に乗ったとき

帰るの?

そう聞かれたんだ

え?、うん

………停めて

え?

車停めてよ!

路側帯に、ハザード炊いて、車を停めたんだ

どうしたの?

………運転代わって

え?、あ、うん

眞由美の運転は、とてもデンジャラスで、
ハラハラしたよ

そして、高速から降りた眞由美が、インターそばのラブホテルにポルシェを入れたんだ

私から口説かなきゃダメみたいね?

そう言った眞由美

ラブホテル、
カップルがセックスするのに使うホテル

エレベーターの中で、笑いが出ちゃったんだ

なにょ、さっきまで凹んでたくせに

だってぇ、受付で泊まりたいんですけどって言うんだもん、眞由美ぃ

知らないもん、ボタン押して部屋選ぶなんてぇ
……………翔太は、知ってたの?

話には聞いたことあるかな

ラブホなんて、初めてよ

俺もだよ

でも、部屋に入ると緊張したよ
眞由美も急に無口になっちゃってさ

テレビみようとリモコンでスイッチ入らたら
大画面でセックスシーンが、写ってさ

凄いねって眞由美が、つぶやくから

そうだねって

で、会話もなく、見てたんだよね

感じるのかなぁ?
お仕事なんだろうけど、演技なのかなぁ?

どうなんだろうね?

翔太、こういうの好き?

あんまり、
なんかさ、わざとらしいって言うかさ

私、あんまり見たことないけど、
あっ、かおに出してる

本当だ、

みんなしたがるの?

どうなんだろ?

何がわかるってのよ楽しいの?
男の人って、こんなことして

…………奪った気になれるんじゃないかな?

そっかぁ、だからアイツも私にしたんだ

さらっと話すんだね

うん、翔太には何でも話せるから
…………浮いたり沈んだり、激しいね、翔太、
ラブホテルに入って、アイツと、来てたんだなって考えたでしょ?
私が初めてだと知ると元に戻ったね

…………図星だよ

ねぇ、なんでそんなに気にするの?

…………わかんないよ、自分でも嫌になる

ダメよ、嫌になることないわ、
どうしてか一緒に考えてみようよ

え?

一人より二人よ
泣くのも笑うのも、一緒がいいの、
彼女になってあげるから、考えてみようよ

…………なってくれるの?

待ってたらお婆ちゃんに、なっちゃいそうだものね
私は翔太が好きなの、
気持ちが止まらないの、彼氏になって

………ありがとう、
プロポーズは俺からするからね

……うん、待ってるね

唇を重ねたんだ

指を絡めながら、
細いのに、柔らかい眞由美の唇に唇を

そして、そっと舌を入れると、
眞由美、受け入れてくれたんだ



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