《MUMEI》 Fly Me To The...山の中、小さな川が流れる一角にボク達の秘密基地はあった 川の側にあるボロの小屋には昔、人が住んでたらしいけど 今は取り壊す予定も無いと聞いて、ボク達は春休みから地道にコツコツと室内を改造していった 「お、ユウヒ来たぞ」 室内では飛行機の制作作業が始まっていた 広さは7〜8畳くらいで、絨毯を敷き、中央にはちゃぶ台 壁際にはそれぞれのお気に入りを持ち寄った漫画本の棚がある ちゃぶ台の上には設計図らしい図面が描かれたノートが広がっていた 「しかし意外だな〜、ユウヒが俺達の計画に加わるなんてさ」 背の低いオカッパ頭に眼鏡を彼、ケンジ君は私を見て呟いた 「別にいいんじゃないの?バラさなきゃ、人手はいるもんだろ」 そう言ったのはヒョロヒョロと背の高いセイジ君だった 「だって、俺達男のチームに女なんて…」 「関係ねーだろ…」 ケンジ君の言葉を遮る様な声 奥で壁にもたれかかって漫画を読んでいるのは4月に転校してきたアスカ君だった 彼はなかなかの問題児らしく、前の学校でも色々あったらしい 何より前髪には金のメッシュ入れてるわ、毎日のようにリョータ君と衝突するわで… 「あのさ〜アスカも少しはアイデアだせよ!」 「漫画読んで探してんだよ、メガネキノコ」 相変わらず悪口しか言わないと言うか… 「あ、ユウヒちゃんとりあえず座ってよ、ジュース入れるし」 「あ、ありがとセイジ君」 セイジ君は紙コップにオレンジジュースを注ぎ、私に渡した 「……おい、ポニテ女」 「何よ」 「アイツはどうした?」 「アイツ…?」 アスカ君がアイツと呼ぶのはリョータ君しか居なかった 確かに、私より先に山に入ったのに基地に来てなかった 前へ |次へ |
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