《MUMEI》

焦んなくてもいつか恋をする日が来ると思うし、友達もなんだか作れる自信がついた。

――流されるまま始めたこの仕事から…
自分が…、
生活が変われた事に





幸福感が溢れて、
止まらない。





「裕斗!始めるぞ!」






大きな監督の声が響く。





「はい!」

そして拙いながらも役に入る俺……。





役の中では大学生で、彼女がいて…
たくさんの友達がいて……











「しゃぶしゃぶ最高だったな〜」





「はい、もうめっちゃ美味しかったぁ、ご馳走様でした」





俺はシートベルトをカチャと締める。





「…なあ、ゆうちゃんさ…、俺ん家…これから行かないか?」

え?と思い伊藤さんを見る。





「ほら、外じゃ酒飲ませらんねーからさ、俺ん家でゆっくり飲まね?
ゆうちゃんの好きなビールでもよ」





――無邪気な笑顔で誘われて




「はい、有難うございます!」





「ははっ、じゃー、しゅっぱーつ!」






伊藤さんは車を発進させた。





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