《MUMEI》

「やったな!棒みたいな体しおってからに!」
抵抗出来ないよう東屋に手首を拘束された。
腹を掴み返そうとしたようだが皮ばかりの俺は何処を掴めばいいか決まらずにまごついている。




首筋を掴まれた。


「……ふ  あぅっ!」
首は本当に弱い。







「…………ごめん」
酷く驚いた顔で東屋は手首を離してくれた。



「……木下女みたい」
通りすがりのやつに言われる。周りからどっと笑いが起きた。

「生っ白い肌だしな」


「顔付きが柔らかい」


更に同級生は口々に言い始める。
恥ずかしくなってきた。……ななお……!瞼を固く閉じて言葉は適当に返す。顔に出してはいけない。


「時間決まってるんだから早く着替えろって先生から。」
早々と着替えて廊下にいた乙矢が顔を出しにきた。


「…………乙矢ありがと」
こそっと話しかけた。


「早く部屋戻りな」
確かに七生に会いたくなってきた。きっと、先生からの連絡は嘘だ。
俺が嫌な思いしないように助けてくれたんだろう、そういう気配りが出来るやつだ。






「悪かったな、嫌な気分だったろ。」
東屋は謝罪してくれたからしょうがない許してやるか。他の笑いやがった同級生は俺のむかつくランキングに上位に食い込ませてやる。

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