《MUMEI》 「オカエリー」 南も帰って来てたのか……ちぇ。 「なにその不満げな顔は」 勘、鋭いな。 「……いいえ」 一応文句が無いことにしておく。 七生がベッドの上に荷物を広げて風呂に行く準備をしている。荷物の真横に座った。 つむじが見えたので人差し指で押してみる。 「何かされなかった?」 「あはは、何されるのさ」 でも、からかわれたよ。 「襲われたり。」 真面目に言う辺りが君の凄いところだ。 「ないない考えすぎ。」 つむじから手を離してぐしゃぐしゃに頭を撫でた。 七生が顔を上げ俺の膝に顎を乗せる。 「疲れた顔してる……」 手首を撫でられる。 七生にはやっぱお見通しか。 「七生見てたら元気出た。」 不思議だ。 「気になるな、」 「ちょっと見た目のことでからかわれた。ま、大丈夫だよ。気にしないで。」 「名前は?」 「いいよ」 「よくない!二郎を傷付けるなら許さん!」 なんていい発音だろうか。 「過ぎたことだしすぐ話題それたから。」 言ってよかった。 無茶苦茶、嬉しい、口の端がにやける。 前へ |次へ |
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